元禄港歌@大阪初日

猿之助さんたっての希望で上演になったというこの物語。

女形を演ずる猿之助さんと女優さんが同じ板の上に立つ。
しかも宮沢りえさんということで期待度大で観劇。

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チケットが届いたときは、今回はお席の配分がイマイチなのかな~と思っていたけど
1階中央の通路を花道に見立て登場する場も多く
自分の真後ろを役者さんが通るという、実は特等席でした(*^^*)
蜷川氏の演出にはよくありますよね。


幕開けから、真っ赤な椿が「ぼたっ。ぼたっ」と音を立て落ち続けます。

大輪の椿は華やかなんだけど、命が尽きるその時を予言しているようで
待ち受ける悲しい運命を思わずにはいられません。

慶事のお席に椿柄の着物はタブーといいますが
こういうことか…そうだね、と納得したり。


さて、猿之助さん。
自らやりたいと手を挙げられただけのことはありました。
瞽女としての不自然が微塵もなく
その佇まいは糸栄の人生そのものを体現しているようでした。

お腹を痛めた子を手放すしかなかった境遇。
我が子を「兄ぼんさん」と呼ばねばならない悲しみと切なさが
観る者の胸を締めつけました。

年に一度、ここに戻って来れば会えるかもしれない…という小さな希望は
ただただ、受け入れるしかなかったであろう人生において
どんなに励みになったことだろう。
そして座頭という立場が彼女を逞しくもしたのだろう。
観る者に想像の余地を与えてくれる糸栄でした。

りえさん演ずる初音は、悲しいほどの透明感がありました。
瞽女ですから手元に視線を落とし弾くこともできません。
きっと三味線のお稽古にも励まれたんだろうな。

兄ぼんさん、信助の段田安則さん、よかったなぁ。
両の眼を失ったからこそ見えたこと、彼が手にした幸せ…
他人から見ればあまりにも厳しい現実なのだけれど
きっと自分を取り戻したような心地だったのだろう。

人の幸せは、その人にしか分からない。
周りが押し付ける幸せの尺度など、何の役にも立たないのだね。




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by mame-soleil | 2016-03-06 13:38 | 歌舞伎 | Comments(0)
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